1週間後には名古屋の「音楽のたのしみ」が終わり、3週間後には東京文化会館最後のリサイタル「響像」が終わっているはずですが、その時の気分を今は想像できません。
名古屋で演奏する12曲は、楽譜にすると82頁の書物となります。オタマジャクシいっぱいの密度高い作品もあれば、シンプルで整った、いわゆる譜面ズラのいい曲もあり、視覚的にもそれぞれの個性が際立っています。
そして東京文化会館で演奏するのは、わずか3作品ですが、120頁。なるべく譜めくりを少なくするため、小さく凝縮してあるので、音符としてはかなりの分量になりました。
かつ、なかなか手指に馴染んでくれない複雑(一般的には無理ゲーといいます)な編曲をしてしまったので、盛大に焦りながらも、冷静に確実に仕上げに掛かっています。
そんな切羽詰まった私の気分転換は、個人レッスンです。世界中から刺激と解決を求めて集まってくれる皆さんの熱意と努力を前に、私も泣いてはいられない!と力をいただいています。
日夜ひたすら練習しながら思い浮かべるのは、お客様のこと。ひとりひとりお顔を思い出して、どんな風に聞いてくださるかなと想像すると、俄然やる気が湧いてきます。
でも、あれ?あの方からお申し込みないけど、どうしたのかな?もう飽きられてしまったのかな?何か悪いことしてしまったかな?とだんだん深みにハマってしまったりも。
なら、ぜひ来てください!とメールでもパパッと打てばいいんでしょうけれども、直接お誘いしたら断りにくい気分にさせてしまうかもなと考えてしまって、結局声を掛けられずに終わってしまいます。
まあ、これもタイミングとご縁ですから。聞いてくれる人は聞いてくれる。それでいいんです。
今年の神田将はすこぶる強い。というか、強くなりました。おかげで演奏も安定するようになりました。聞いて欲しい人が客席にいてくれることを望みつつ、この心、届け!と念じながら弾きます。
チケットはこちら http://shop.yksonic.com

