YKsonic Web | home | concert | kidoairaku>2010 | blog | gallery | profile | contact |

ANAクラウンプラザホテル神戸 Royal Suite  

ANA Crowne Plaza Kobe

2010.02.20(土)
神戸市中央区 楽-3

ロビー

ARCHIVES

1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
ホテル別リスト
レストラン別リスト
「楽5」「喜5」ベストコレクション
グルメ2010
グルメ2011

禁断のスイート


1988年に新神戸オリエンタルホテルとして開業したこのホテルは、2006年12月15日にクラウンプラザ神戸へとリブランドし、その後2010年1月20日からはANAクラウンプラザホテル神戸となった。ホテルの名称がころころ変わったとしても、天に向かって矢のようにそびえる外観は、神戸を象徴する建築のひとつとして今も変わらない。

外観

ホテルは37階建てだが、建っている場所に標高があるため、神戸市街地ではひときわ目立つ建物である。そして、この建物を見上げる度に、開業当時「あんなとがった屋根のホテルに泊まって、火事になったらどうやって逃げるんだ」と言って、泊まるのを必死に拒んだ外国人のひきつった顔が目に浮かぶ。

外観

外観同様、建物内も三角形のエッジを強調したデザインが多用されている。それらは80年代から見た未来観でもあり、躍進、スピード、切れ味など、まだまだいけるぞと舞い上がっていた当時の世の中を刻んでいる。

勢いを緩め、ナチュラルに生きようと思い改めた現代人の目には、過分にクールな印象を与えないでもなかろうが、過ぎし日を封じ込めた博物館だと思えば、いつまでもこの状態を保って欲しいという気持ちも湧いてくる。

エレベータの天井

チェックインは4階にあるフロントカウンターで行った。だだっ広く色気のないロビーの一角にあるカウンターには、これまた色気のない男どもが4人も構えている。カウンターの左隅はクラブフロアとプライオリティクラブエリート会員用と表示されているが、その区別が機能しているようには見えなかった。

フロントカウンター

今回利用した客室は、ロイヤルスイート。最上階の37階ペントハウスに位置し、125平米の面積を誇る最高級客室である。

新神戸オリエンタルホテルだった頃は、特別な客でないとペントハウスの部屋を予約することはできなかった。高層階レストランよりも上層にあり、一般客室とは完全に隔絶されたそのフロアは、様子がわからないだけに魅惑的だった。

どんなインテリアなのだろうか。いったい何室あるのだろうか。もしや天井はあの三角屋根のように高く尖っているのだろうか。想像だけが膨らんでいった。

だが、クラウンプラザになったのを機に、ペントハウスにクラブラウンジが設けられ、禁断のフロアは開かれた。足を踏み入れてしまえば何ということはなく、いささか拍子抜けだったが、スイートの内部はまだ未知の領域であり、いつか泊まってみようと思っていたのである。

37階に降り立つと、エレベータホール前にクラブフロアのレセプションデスクがあり、37階の客室に進むには、必ずここを通過しなければならない。おそらくクラブラウンジができる前は、ラウンジのある位置に最高級スイートがあり、ロイヤルスイートは次のクラスだったと思われる。

ロイヤルスイートの部屋番号は3701。専用の廊下を進んだ先に、背の高い一枚の扉がある。廊下の途中に他の部屋がないなら、廊下ごと専有スペースにすればいいのにと思ったが、3701の扉の向かいに、クラブラウンジの「裏口」があるために、そうもいかないようだ。

ロイヤルスイートの入口ドア

扉を入ると、まだ長い廊下が続いている。途中にコート用のクローゼットとゲスト用トイレを備えているほかは、何もない。廊下を進むと内扉があり、その先にはリビングダイニングルームが広がる。2面の窓を持ち、中央のボードでリビングとダイニングを仕切っている。残念ながら、天井は280センチと通常階より高いものの、尖ってはいなかった。梁のない天井はスッキリと見える。

リビング

中央のボードには、リビング側から見られるように50インチの大型テレビが設置されている。テレビの脇には少女のブロンズ像が飾られ、企業の社長室のよう。電動式カーテンは天井から下がり、クールで男性的なイメージだ。

リビング

ソファセットは、都合5人でテーブルを囲める。グレーのファブリックが渋さを醸し、装飾性のない壁がささやかに掛かる額を引き立てているほどで、かなりさっぱりした印象だ。わびさびの境地だろうか。その美学は尊敬に値するが、タバコ臭く、清掃もところどころ行き届いていないとなると、片手落ちに思えてくる。

リビング

ダイニングテーブルは4人用。こちらもほとんど装飾性はなくシンプルだ。ミニバーキャビネットは壁に埋め込まれている。

ダイニング

照明器具は限られている。ダイニング上にペンダント、リビングのサイドテーブルにスタンドふたつ、そしてミニバーに間接照明と、これですべて。昼は自然光に頼り、夜はわずかな明かりでムードを楽しむという、節電指向の照明プランである。

ダイニング

ベッドルームには、120センチ幅ベッドがハリウッドツインスタイルで並ぶ。リビングとダイニングを仕切っているのと同じ木目のベッドボードがあり、ベッド両脇のナイトテーブルは割と大型だ。ベッドの仕様はクラブルーム共通のものだが、十分に快適だった。

ベッドルーム

ベッドルームには昔ながらのアームチェアと白い丸テーブルがあるが、窓際ではなく、一番奥にひっそりと置かれている。こちらの部屋も装飾性は控えられており、唯一の額はチェアセットの上に掛かっている。

ベッドルーム

ベッドルームのテレビは37インチ。あまり格好のよくないテレビ台に載っている。ベッドルームの照明は、デスクスタンドとナイトランプがすべて。日中でももう少し明るさが欲しいと感じ、夜のデスクワークにはとてもじゃないが暗すぎる。かつてはフロアスタンドがあったようだが、撤去されている。

ベッドルーム

カウンターデスクは白っぽいが、添えられたイスはこげ茶色。デスクの天端はカウンター状に広いが、引き出しはなく、脇にラックを置いている。

ライティングデスク

それぞれの窓からは神戸の街並みを一望でき、日中なら六甲の山並みや豊かな緑を間近に感じることができる。

客室窓からの眺め

夜ともなれば、見事な夜景が視界を包む。暗い山と、宝石箱のような市街とのコントラストが美しい。

客室から見る夜景

ベッドルームからバスルームへと至る途中には、収納のためのクローゼットルームがある。大型のオープンラックがあり、衣裳部屋というよりは納戸のイメージが強い。そして、なぜかバスタオルと脱衣カゴがここに置かれている。

クローゼットルーム

バスルームは白い大理石を張り巡らせ、金メッキを施した浴室金具を使うなど、居室とは違ってゴージャスな印象だ。約10平米の四角い空間にあるのは、ダブルベイシン、トイレ、ビデ、バスタブ、シャワーブース。特に仕切られることなく渾然一体と、しかし整然と並んでいる。

ベイシンとトイレ

ベイシンの前は大きなミラー。脇の上部に三角形のモチーフが見られる。

ベイシン

165×90センチサイズのバスタブにはハンドシャワーが設けられているが、シャワーカーテンはないので、ここでシャワーを使うのは難しい。一方、ガラスで囲われたシャワーブース(150×117センチ)には固定シャワーしかなく、あまり自由は利かない。

バスタブとシャワーブース

バスアメニティは、クラウンプラザ共通のアイテム。シャンプー類は過渡期なのか、コンディショナーだけが別の品物をセットしてある。こうした中途半端なことをする発想そのものが、高級ホテルの高級客室には相応しくない。

また、タオルは3サイズが3枚ずつ用意されるが、いずれも薄っぺらく、すでにほころんでいるようなものばかりだった。

バスアメニティ

クラブラウンジが同じフロアにあるので出向きやすいのだが、近ければ近いで、かえって足を運ばなかった。入口にはレセプションがあり、その並びにはソファが並ぶ。

クラブフロアレセプション

ここは窓がなく、レセプションに近いからか、客が利用しているのをまったく見たことがない。

クラブラウンジ

ラウンジ内は全席禁煙となり、内部のレイアウトも変更された。窓際を埋めていた大型ソファセットが脇に追いやられ、テーブル席が中央に進出した。

クラブラウンジ

その結果、バランスが崩れ、まるで学生ラウンジのようなチープな雰囲気になった。朝食時にだけ利用したが、あまり混み合うこともなかった。

クラブラウンジ

ラウンジ内で一番立派なのはミーティングルーム。だが、朝は混雑を見込んでか、ここも食事用のセッティングがしてあった。

クラブラウンジの会議室

ミーティングルームには南向きの窓があり、そこからは神戸市街越しに海を望む。景色もいいが、変わったフォルムのホテル壁面を間近で見るのも興味深い。

クラブラウンジからの眺め

客室で過ごしている時、どこからともなくコツコツと靴音が響くのが気になった。この上にはもうフロアはない。屋根裏住まいの悪魔か、それともラウンジの係か。現実的には後者であろう。足音が気になると注意を促したが、朝食時にもヒールを高らかに鳴らして歩く係たちを見た。無神経である。

夕食はルームサービスを利用した。メニューの文字が細かすぎて読みにくい。夜ともなれば、室内が暗いこともそれを一層のものにする。イライラしながら注文を決め、運ばれるのを待った。

給食のトレーのようなものに載せられてきた料理をダイニングテーブルに移すと、そのみすぼらしさに悲しくなってきた。ひどい味。しかもナプキンは紙。これなら、下のファストフード店でバーガーでも買って来た方がマシ。ルームサービスとしては最低の部類だった。

ルームサービス

 ▲このページの先頭へ  

OFFICIAL WEBSITE

ANAクラウンプラザホテル神戸

このホテルに関する過去のレビュー

960406 960603 090705