リハーサルの日々

いざ本番で慌てることなく、集中して良い演奏をするには、稽古と念入りなリハーサルが大切。10月はさまざまなアンサンブルに加わるので、連日のリハーサルで役割を体に叩き込んでいます。

どのような楽器でも、人々を魅了する演奏をするには、極限までの集中力が必要ですが、エレクトーンは気に留めるべきことがひときわ多く、ちょっとした気の緩みで演奏が大きく崩れるハイリスクな楽器です。

できることなら、感覚のすべてを演奏に注ぎたいところですが、年々集中が難しくなってきました。それは老化のせいだろうと苦笑されそうですし、完全に否定できないのが哀しいところですが、思うに、私の役割の変化が最も大きな理由だという気がします。

以前はもっとのびのびと音楽を満喫しながら演奏し、その歓びに浸ることができました。しかし、今では自分の感覚のほとんどを外部に向けて使っていて、演奏はほぼ無意識の領域で実行している感じです。

実際、最近の仕事は演奏ではなく、演奏会のまとめ役としての力を買われて声を掛けてもらっているようにも思えます。

演奏会の目的に適うよう方向性を定め、そこに携わる人を鼓舞して動かしながらよい演奏を実現するのは、正気を保つのがやっとなほどキツい仕事ですが、それだけにやり甲斐や手ごたえもあります。

次の週末は、ヴィオリラ演奏家たちとのアンサンブルで参加する名流祭。ヴィオリラ三十数台と四十名以上のアマチュアコーラスとの共演で、私は自分の演奏とともに、指揮者の役割も請け負います。

両手両足が塞がっている中で、どうやったら各パートに的確な指示を出せるか、目下研究中。指揮棒を口でくわえるしかないかもしれませんね。

そして31日は浅草東洋館でのタクト音楽祭。指揮者形態模写の名人で知られる好田タクトさんは、これまでにも実際にオーケストラを相手にするなど、さまざまな経験を持っていますが、第九の第4楽章をソリスト付きで通すのは初のこと。

お客様に安心して笑っていただくには、音楽もきちんとしていなければいけませんので、通常の第九演奏会以上に神経を使います。

ソロコンサートやリサイタルとはひと味もふた味も違うところに興味を持ってくださるのか、予想以上にご来場のお申込みを多数いただき、私が一番驚いておりますが、ご期待に添えるよう、老境に於ける新境地をさらに奥へと踏み入ってまいります。