霧島アフター

米津さんとのツアーを終えて2週間が経とうとしています。今は14日のソロコンサートの稽古がメインの日々。その合間に、せんくらの稽古、それ以降の編曲の構想などで、鈍い頭をフル回転させています。

14日のソロコンサートは、労音さんが企画する初めてのエレクトーンコンサート。初めて聞きに来てくれるお客様を意識して、神田将の定番曲を中心に集めて、いわばベストコレクション的な内容のプログラムを用意しています。ほとんどがこれまで数々のコンサートで弾き慣れている作品ばかり。少々乱暴な言い方をすれば「楽勝」なはずですが、ここのところ何かが変わって来ているのか、弾いても弾いても自分で納得がいきません。

調子が悪いということではありません。むしろいい感じ。ざっと弾いてみても、これまでなら自分に合格点を与えていたであろうラインはクリアしています。

ところが、わずかなタッチのブレやバランスの違和感が許せなくなり、とことん立ち止まってディテールを磨く努力を重ねていますし、これまで「エレクトーンだから」と諦めていたところにも、何とかならないものかと、斬新なアイデアで違和感を払拭する工夫を取り入れたりもしています。

その動機のひとつは、ここ最近で大きく変化しつつあるサウンドのトレンドに対応するため。以前にも触れましたが、クラシック音楽にもサウンドのトレンドがあり、世情や環境に大きく影響を受けます。

ここしばらくは、メローで優しい響きが好まれましたが、徐々に輝きや底力のあるダイナミックな音が求められるようになって来ています。エレクトーンで同じ曲を弾き続ける場合にも、随時音色や弾き方を見直し続けなければ、あっという間に時代遅れになってしまうのです。

私の音楽が大きく変化している要因はこの他にもあります。キーワードは「霧島以降」です。霧島国際音楽祭で世界の名手たちが奏でる音楽に触れ、それはそれは雷に打たれたような刺激を受けました。

映像やらCDなどで見聞きするのと、その場で空気を共有しながらダイレクトに聞くのとでは、まったく違います。どの演奏も極めて洗練されており、圧倒的な魅力を放っているところを目の当たりにすることで、私やエレクトーンに欠けているものを痛感しました。

その最たるものは、クラシック音楽を奏でることへの必然性です。私以外のエレクトーン奏者がどう感じているのかは知りませんが、少なくとも私自身、電子楽器でオーケストラさながらのニュアンスを醸すことに、限界や違和感、やもすれば罪悪感さえ伴うことがあります。

それを払拭するのは容易ではありませんが、少なくともそんなことを感じながら弾くのは止めようと決心したのも「霧島以降」です。現段階では不十分かもしれませんが、真の音楽性はエレクトーンでも必ず表現できると信じて、堂々と弾くことにしました。

正確なテクニック、なにごとにも動じない平常心、気品、風格など、どれもが桁外れに優れている名手たちから受けた刺激。それらが今、私の中で全細胞を活気づかせています。ちょっと制御が追いつかない感もありますが、日々革新中です。

14日に東京・足立区で開催されるコンサートのチケットは、まだございます。お電話でのご予約で、当日受け取ることも可能ですし、当日券も用意される予定です。この機会にぜひご覧ください。

問い合わせ:東京労音東部センター 03-3879-6191

15日は和歌山県紀の川市粉河にて、TONPEIさんのお供をします。粉河とんまか通りを舞台に約1500個の灯ろうを灯し、お子様から大人まで楽しんで頂ける催しになるそうです。

第5回粉河とうろう祭(紀の川市)参加無料

日時:   9/15(日)17:00~20:30
出しもの: 関西学生能楽連盟による能楽・TONPEIたそがれコンサート
場所:   粉河とんまか通り周辺 JR和歌山線粉河駅下車徒歩10分
問い合わせ:粉河とうろう祭実行委員会
(紀の川市商工会 粉河支部内) 0736-73-5079