7月の下旬、大好きな夏の北海道を訪れる機会がありました。9月に本番が予定されている深川での第九に向けた、合唱団との顔合わせが目的です。
私が必要とされるのは練習会の2時間と前後の打ち合わせのみなのですが、東京から参加するとなれば、日帰りは難しく、なおかつ繁盛期で飛行機の手配に出遅れたこともあり、結果2泊3日の旅となりました。
私にとって練習や仕込みの時間確保は最重要事項ですので、数時間のために3日間が使えなくなるというのは非常に厳しいものがあります。結局は体を休めるための時間を切り崩すしかなくなり、それが体調不良を招き、最終的に周囲の不利益になるという悪循環は何としても避けたいところ。せめて道中問題なく、スムーズにことが運ぶよう願うばかりです。
夕方の便で向かい、札幌のホテルに着いたのは午後10時過ぎ。レストランは終わり、ルームサービスもなく、夕食は取れず終い。呉から戻った時から体調を崩し、治らないままに出掛けて来たので、熱い湯に一瞬浸かって早めに休みました。
翌朝は幾分でも元気になっていればと思いましたが、旅の負担は思いの外大きいようで、どんどん苦しくなっていきます。せめて何かを口に入れて体力付けないとと、トーストをかじって、引き続き部屋で休息を取りました。
午後になり、札幌駅から深川へ向かう特急に乗車。1時間ほどの短い距離ながら、車窓には北海道らしい景色が広がり旅情を掻き立てます。深川駅では主催の出迎えを受け、練習会場へ。
本番と同じステージで練習できるというのは、とてもありがたいことです。エレクトーンは旭川の楽器店からお借りしたとのこと。本体のみで外部スピーカーなしでしたので、本番同様とはいきませんが、コミュニケーションを取りながら練習するには問題ありません。
まずは日頃から合唱団をご指導いただいている工藤先生にご挨拶と打ち合わせを。椿姫のジェルモンを演じてもらったらピッタリな紳士で、お声もまさに心地よいバリトン。きっと合唱団もいい感じだろうと想像できます。
紹介を受けて、合唱団の待つステージへ。第九に慣れているという方の自信、初めての方の不安、よくわからないけど楽しみという雰囲気の方など、ひとりひとりから違う思いが滲み出ているのが伝わってきました。思いは違えど、ひとつ共通していることがあります。それは「エレクトーンってどうなの?」「指揮なしでどうなるの?」というシンプルで至極当然な疑問。それを払拭するために、私は遠路はるばるここまでやって来たのです。
つべこべ演説しても仕方ありません。人が揃い、エレクトーンもあるのですから、まずはやってみましょうと、いきなり全部通しました。初めてで魔法のように完璧とはいきませんが、これなら何とかなるだろうという見通しは感じてくれた様子。そこからは丁寧に思いを伝え、このカタチの第九で何をしたいのかを理解していただきました。
同じ曲でも地域によって大きな個性が出ることは以前にも触れましたが、ここは北海道だ!と感じるにじゅうぶんな味わいが出ています。声もいいですし、おおいに期待できます。本番まで残された練習機会は、いつもの先生に安心してお任せすることができますので、きっといい仕上がりになるでしょう。
本番第1部では「平和と友情の調べ」と題してエレクトーン独奏をご披露します。久しぶりに弾く「展覧会の絵」がとても楽しみです。
こうして練習会を終えて深川駅で帰りの特急を1時間ほど待ちました。ノイズのない穏やかな環境で、翌週からの公演について思いを巡らせるひととき。次第に日が暮れる様子はドラマチックでした。
札幌のホテルに戻って、やっと落ち着いて夕食をと思いレストランへ。まだラストオーダー前だというのに、嫌な顔をされてしまいました。翌日には鉄道が止まり、空港へ行くのに一苦労。ついていないことの多い旅でしたが、合唱団との練習会は大成功。それを思えば、マイナスの出来事など取るに足らないと言い切れます。ぜひ本番にご期待ください。









