仙台クラシックフェスティバル2025にお招きいただき、3公演に出演し、姜建華さん、廣津留すみれさん、浅野祥さんとのアンサンブルを満席のお客様にお届けしました。
今回も数々の名演が繰り広げられたせんくら。非常に質の高い演奏が多く、まさに音楽の歴史を刻む現場だという強い実感のある三日間でした。公演数が多いため、高度でありながらも、展開が速く、なかなか腰を据えて覚悟を決めるゆとりはないわけですが、それでも名手たちは堂々たる演奏を披露していました。
それを支える裏方たちが精鋭揃いで、ボランティアの皆さんも誇りを持って動いてくれること、そしてお客様が音楽を浴びる構えをステージまで色濃く伝えてくださることが、少し落ち着かない奏者の気持ちを力強く後押しするのを感じながら弾けるのは幸せです。
そんな中、私はただただ必死で、我ながらいい歳をして見苦しいと恥入りながら過ごしました。3人の共演者は素晴らしく冴えていて、常に颯爽としています。かつてなら私も負けてなかった。でも、今は足を引っ張っている気がしてならないのです。
せんくらの前は数日徹夜が続き、すでにボロ雑巾状態で新幹線に飛び乗ったことは記憶の彼方へ。リハーサルを終えて早めに休む段取りをしてもらっているのに、結局眠れずに迎えた朝。何とか支度して会場への移動中、いつになく足取りの重い私を気遣い、マネジャーがゆっくり歩いてくれているにもかかわらず、それに追いつけない自分が情けなくなりました。
会場では無駄な時間は一切なく、直前リハーサル、開場、開演という急展開に対応しなければなりません。不安でしたが、周囲に助けられて何とかひとつ目の公演が終了。そのまま次のリハーサルへと走り、数時間弾きっぱなし。一度ホテルに戻り束の間の休憩を取って、再度外出。夜は疲れ切っているはずなのに、また眠れずでした。
そして2日目は午前と夜に1公演ずつ。その間はまたみっちりリハーサルと練習です。疲労が深いと、自分をコントロールできなくなり、演奏はますます不安定に。ああ、今必要なのは練習より休息かもしれない。でも、あと数時間気を張っていれば、それで終わる。もう一息。
折れそうで折れないのは、自分以外のすべてが実に素晴らしいからです。誰もがパワーと動機を与えてくれるので、何とか持ちこたえることができました。
今をときめく名手と、19年目にしてすっかり成熟した聞き手が作り出すフェスティバルの熱気は、とても価値の高いものです。そこに並んで関われるというだけで、私にはこの上ない名誉。出させていただき、ありがとうございます。そして、迎え入れてくださる仙台の皆さまに心より感謝します。










