産業と音楽

昨年に引き続き、三芳町産業祭 with みよし芸術祭に参加しました。屋外ステージでの演奏は開放的で気持ちがいいのですが、当日はあいにくの雨。ステージには屋根があるものの、客席は完全な露天です。お客様は聞いてくださるのか、一同不安でいっぱいでした。

三芳町町役場周辺を会場に展開される産業祭は今年で42回目。地域の皆さまにはすっかりお馴染みの恒例行事で、毎年多くの人で賑わう大イベントです。たくさんの出店が並ぶマルシェでは、特に地元の野菜が大人気。昨年、私が純白の薔薇の花束と見紛ったカブも、高貴な表情で並んでいました。

もつ煮や串焼きを買って、ステージ前の広場に陣取り、ピクニック気分でライブパフォーマンスを楽しむというのがここの定番ですが、この日はびしょびしょでピクニックができずガラ空き。その後方にはイスとテーブルが設置されており、そこには傘を差しながら休憩している人がちらほら。

それでもステージパフォーマンスが始まると、しばらく足を止めてくれる方々があり、少々寂しいながらも、なんとなく盛り上がって来ました。

前の出演者がステージを務める間、私たちチームはステージ裏のテントで待機。エレクトーンには「ゆるキャラ控え室」が用意され出番を待ちました。雨は冷たく気温も上がりませんが、幸い風がなく、覚悟したほど寒くは感じません。

前のステージが終わり、まずはエレクトーンをセット。役所の職員が大勢で手伝ってくれ、あっという間にステージに上がりました。特にリハーサルはなく、簡単な音響チェックのみで即、本番です。

演奏しながらサウンドを整えていくという流れなので、冒頭でカッコよくキメるということが難しかったのですが、まとまっていくに連れていい感じになり、それに合わせて聞いてくれる人も増えていきました。

前半はエレクトーンソロでクラシックと映画の曲を、後半はシンガーの松本昌子さんをゲストにミュージカルソングをお届け。松本昌子さんとは昨年のサンシャインシティプリンスホテル「マスカレードライブ」で共演して以来、1年以上ぶりで、事前リハーサルなしのいきなり本番でしたが、まったく不安がないどころか、むしろいつも以上に互いを感じながらのよい演奏になりました。

曲ごとに世界が変わるステージに見入ってくれる人たちも、ふだんのコンサートではなかなかお目に掛かれない雰囲気。マッチョな地元消防団の方々が制服でミュージカルソングをウキウキ楽しんでいる図は、まさに芸術祭だなぁと思いますし、イカ焼き片手にラヴェルやチャイコフスキーを聞くという機会も、なかなかありませんよね。

どんなスタイルにせよ、発見や学びがある演奏を届けることが文化であり、私たちの存在意義だと思っています。三芳町の野菜は、丁寧に育てられ産出されていますが、芸術文化もまた、育てて産出していかなければなりません。この産業祭 with 芸術祭は、「culture」という言葉が本来持つ意味の深さを静かに語っているように思いました。

屋外ステージでのパフォーマンスに先立ち、コピスみよしホールで開催された三芳町町制施行55周年記念式典のオープニングでも演奏しました。三芳町の歴史と魅力を凝縮した3分30秒の動画に合わせて映画「バックトゥーザフューチャー」のメインテーマを当てるというもので、コンマ1秒ずれずにピッタリ合わせて弾くのが楽しく、政治家のお偉いさんが勢揃いの物々しい雰囲気に流れる疾走感たっぷりのサウンドというミスマッチも絵になっていました。

式典に屋外演奏にと大活躍だった「旅するエレクトーン」。今回はちょっと濡れてしまいましたが、風邪も引かず元気に帰還。いろんな人に大切に運んでもらって嬉しかったようです。