11concertos

いやはや、たいへんなことになりました。これほどの光栄は人生で初めてですが、果たして自分に成し遂げられるのかを考えると、喜びよりも恐怖の方が大きく、居ても立っても居られない心境です。

4月から1年に渡り、毎月コンチェルトをご披露する。ただそれだけといえば、それだけなのです。でも、エレクトーンを少しでもご存じなら、平均40分の管弦楽作品を毎月仕上げるのが何を意味するのかは、ご想像いただけると思います。

この自分を壊滅させかねない企画をなぜお引き受けしたのかと言いますと、一番の理由は名乗り出てくれたソリストの顔ぶれがあまりに素晴らしいからです。

企画をなさったMAGICOの山下さんは、音楽の世界にもたいへん顔が広いと同時に信頼を寄せられ親しまれている人物。その山下さんが昨年霞町音楽堂プッチーニナイトでのエレクトーンに着目し、クラシックソムリエの田中泰さんと共にとんとん拍子で企画してくださった、そこまでは嬉しい、ありがたい、ぜひぜひ、という感覚でおりました。

でも、エレクトーンとコンチェルトをやると言っても、管弦楽の第一線で活躍するソリストたちからは一笑に付され、成立しないのではないかと予想していました。

ところが、蓋を開けてみると、望めば名だたる管弦楽団率いるマエストロと共演するチャンスがいくらでもあるソリストたちが、次々と共感してくれ、あっという間に共演者が決定したのです。

多くは山下さんのお声がけという固い地盤ありきの結果ですが、エレクトーンとの対局にこれほどの理解を得られたことは、かつてない大きな希望となりました。

そして、ソリストたちが要望する曲目の凄まじさと言ったら、気絶しそうなほどです。もう一心不乱に取り掛かるしかなく、すでにベートーヴェンの皇帝を編曲中ですが、もう早速この手強さに及び腰になっています。

編曲と演奏がある程度仕上がったとして、一番の問題はその先にあります。音楽は、同じ作品でも演奏者のクラスによって、まったく別次元の難易度に変化します。

過日の、青柳晋先生とのチャイコフスキーとラフマニノフでは、私は満身創痍でした。それなりに弾けていても、相手のパワーが大きい、あるいは深いと、こちらは毒蛇に噛まれたように神経が麻痺してしまい、まったく想定外の状況になってしまう。

エレクトーンならではの問題もあるのですが、そんなもの言い訳にはならず、こちらが解決する以外になく、解決には実践の経験で答えを見つけるしかないのです。

さあ、私はこのコンチェルトシリーズを自分の決意でお引き受けしました。おそらくこの先1年は地獄の毎日でしょう。そして毎回のステージで、少しは喜びを得られるのか、死にたいほど落ち込むのか。これも覚悟しています。

でも、一年後の自分が、無敵の力を纏い、エレクトーンだからって誰一人笑わせないだけの実績を重ねている姿も想像できます。

なので、皆さま、ぜひこのシリーズを成功させてください。席が埋まること、話題になることが大切ですが、何より聞いて目撃者になっていただきたい。神田将、最後の大勝負。よろしくお願いいたします。

第1回目は4月8日に。プロローグとしてエレクトーンソロで、ムソルグスキー『展覧会の絵』とホルスト『惑星』を。

奇跡のコンチェルトシリーズ

会場:霞町音楽堂

4月8日 神田将 ムソルグスキー:「展覧会の絵」ほか

5月24日 広瀬悦子 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」ほか

6月27日 青柳晋 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ほか

7月12日 松田理奈 チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ほか

8月23日 古川展生 ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ほか

9月25日 河野智美 ロドリーゴ:アランフエス協奏曲 ほか

10月17日 海野幹雄 シューマン:チェロ協奏曲 ほか

11月29日 山口ちなみ ガーシュイン:ラプソディー•イン•ブルー ほか

12月26日 吉田誠 コープランド:クラリネット協奏曲 ほか

1月23日 三浦舞夏 ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ほか

2月21日 長谷川陽子 エルガー:チェロ協奏曲 ほか

3月22日 長原幸太 ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ほか