エレクトーンが12年ぶりにフルモデルチェンジします。3段鍵盤の基本構造と、現行機種がもつすべての音色と機能を受け継ぎながら、劇的な進化を遂げたELS-03シリーズは、発売前から大きな話題となりました。その全貌が明らかになるにつれ、ユーザーのイマジネーションは激しく揺さぶられ、新しい時代へのプレリュードが一斉に鳴り響こうとしています。夜明けはまもなくです。
私が初めて対面した日は、昔風に言えばお見合いの気分でした。期待に胸躍らせながらも、もし想像と違っていたらどうしようという不安がありました。私がエレクトーンでやろうとしていることを叶えてくれるのか。期待は、その一点だけです。
その日は、開発の責任者が付き添い、新しいところ、変わったところを、ひとつひとつ丁寧に、そしてちょっぴり自慢げに、愛情を持って紹介してくれました。ただ物を造ったという風でなく、エレクトーンに持たせられるあらゆる可能性を注ぎ込んだ夢と希望の結晶であることを目の前で証明してくれたと受け止めています。
この新しいエレクトーンには、これまでにない魅力がぎっしりと詰まり、多くのエレクトーンユーザーを虜にすることは間違いありません。
しかし、私の演奏スタイル、求める音楽にとっては、不要なものが多いことも事実でした。また、あくまで私個人の環境にとってのことですが、見た目のデザイン、質感などは、フルコンサートグランドピアノや、ストラディバリウスのヴァイオリンの並べても引けを取らないものを望んでいるので、まったくもって方向性が違えど、価格を抑え主要なニーズに応えるという点は共感できます。
さあ、余計な機能ばかり、見た目も気に入らないとケチを付けましたが、私は実際、トータルでどう思ったのかと言いますと、それはもう最高だったのです。
鍵盤へのタッチコントロールが圧倒的に進化した。新開発の鍵盤には、それだけでたとえ価格10倍でも即買いの価値を感じました。
これまで出しにくかった音が消えるスレスレのニュアンスを筆頭に、とりわけピアニシモの表現が繊細になったこと。
これでまた、私のエレクトーン演奏は一気に10年以上分の進化を遂げられる。今は、そこだけでじゅうぶん素晴らしく、その他のところは追って見ていこうと思います。
エレクトーンによるクラシック演奏では、タッチコントロールを制することが最重要だというのが私の持論です。新しいエレクトーンでは、演奏会の度にそれを実証してまいります。どうぞご期待ください。

