姫路労音が主催した「姜建華二胡コンサートwith神田将」は、大熱狂を巻き起こし、冷めやらぬ興奮の余韻をもたらしました。
いやはや、姜さんのパワーには脱帽です。「溢れる思いを言葉にできないから、私は弾いて伝えます!」。姜さんの熱演は、伝えたい心そのものだったのですね。
私も姜さんの想いについて行こう!張り切ってはみたものの、まるで若者のバスケにでも加わったかのように、全身筋肉痛ですわ。それでも、気分爽快です。
姜さんと姫路労音の関係は、私がまだどちらとも縁がない時から始まっていました。時の流れの中で、姜さんはどんどん立派になられ、再会を望みながらも機会が巡ってこないまま月日が流れる中、姜さんと私が仙台クラシックフェスティバルで共演したのをきっかけに、35年ぶりの再会となる今回の企画が持ち上がりました。
私が姜さんと出会って25年ほど。ソプラノの崔岩光さんがご紹介くださって、当時はたくさんの演奏会でご一緒したことを懐かしく思い出します。
姜さんが北京の大学で教えることになり、急にお会いする機会が減って、寂しい十数年を送りましたが、また日本での演奏活動を再開するに当たり、「神田さんともやりたいの」とご指名くださいまして、こうしてご一緒する機会がふたたび巡って来たというわけです。
姜さんとの息は、一度完璧に合っていますので、どんなに間が空いても、急な音合わせでも、決して勘が鈍ることはありません。
そうとはわかっていても、お互い違う環境で活動していて、久しぶりに合わせるとなれば、何かが変わってしまっているかもと考えます。
でも、一度弾き始めれば、瞬時に感覚が戻り、いつも一緒にやっていた頃と同じように、ピッタリと息のあった演奏になります。それがまた本当に嬉しくて、演奏が更に盛り上がるという循環が生じ、聞いている人を次々巻き込んで行くわけです。
今回の公演に際しては、前日に姫路入りし、いつもお世話になっている文化堂でリハーサルをさせてもらいました。そこにちゃっかり見学に来た両親のために、軽く確認程度のリハーサルが、まさかの全力フル演奏に路線変更。もうこれはリハーサルとは言いません。観客2人の貸切公演です。
両親はすっかり興奮して、大拍手にブラボーまで。でも、久しぶりにはしゃぐ両親を見て私はホッとしました。その意味でも姜さんに感謝!
思わぬ「追加公演」でしたが、おかげで当日の不安は一切なくなったので、本番前は軽く音の確認程度で、本番に全力をという段取りになりました。これは私にとっても好都合でして、午前中をエレクトーンの調整に使えます。
こうして迎えた当日。会場に行くと、すでに姫路労音の皆さんがすべての準備を整えてくれ、何の微調整もなく、すぐにでも本番が始められる状態でした。このスムーズさは本当にありがたいです。
ステージに置かれたのは、モデルチェンジを受けて、姫路労音が2台目のエレクトーンとして購入した新品です。2月の発売以降、私が弾く7台目の新品!鍵盤のグリップもよく、アクリルの譜面台に傷ひとつないのは気持ちがいいものです。
姜さんが会場入りするまでの間に、この日使うすべての機能が正常に作動するかを確認しました。問題もなく、すべてが順調です。姜さんとのサウンドチェックもスムーズに済み、少し体力を蓄えて本番に備えました。
キャスパホールは、姫路の駅から近い好立地。これまで何度か演奏させてもらい、勝手はわかっているのも安心です。客席は間口が広く、照明が入っても客席の様子が舞台からよく見えるのが特徴です。皆さん笑顔で聞いてくれていました。
姜さんも、客席の温かいムードを受けて、熱い演奏がさらにヒートアップして、沸点越えに。私もスタミナがないわけではありませんが、大陸の血には敵わないことを経験で知っているので、自分のエンジンから火を吹くような事態には加担しないことにしているのですが、今回はついつい乗じてしまいました。
この私のギリギリ感がまた、客席を熱狂させる触媒になっていたようにも思います。ふたりして余裕では、むしろ面白くない。そういう意味でもいいコンビなんです。
想定外のアンコールも飛び出し、気がつけば130分の大熱演。いやはや燃えました。
終演後は労音会館で歓迎と感謝の交流会がありました。皆さんの心尽くしの温かいもてなしは、何よりの労いとなり、よき日を永遠の思い出に昇華してくれます。ただ、私はこの心地よい雰囲気にただ漂いながらも、放心状態で無口でした。決して不機嫌なわけではありませんので、悪しからず。
出会いを大切に。口で言うのは簡単ですが、35年越しの思いを現実にする熱意には、なかなかお目に掛かれません。そして、ステージを一緒に作り上げるという想い。姫路労音の心がそこにありました。
写真:上田海斗




















