一音ごとをかみしめて

27日の演奏会から一夜明けた月曜日、フルマラソンの後のように体中が筋肉痛で、どっぷりと深い疲労感が残りました。連日の演奏会もへっちゃらなはずなのに、意外です。この先、舞台とどう向き合っていくのか、この年齢でのあり方をじっくり考える時期なのかもしれません。

27日の演奏会は確かに大変でした。数日間ずっと緊張が続き、終演まで気は抜けずにいたのですが、これはいつものこと。では、こんなに疲れ果てるほど体力的にキツイ演奏会だったかというと、そうでもありません。

穏やかな曲が多く、実際、さほど汗をかくこともありませんでした。シンフォニーやオペラの際は、タキシードがびしょ濡れになりますから、27日に関して言えば体はたいして動かしていなかったと思います。

ところが、改めて考えてみると、この硬直したような弾き方が、体力だけをどんどん消耗させていたようにも感じます。音楽に身を任せてあるがままに弾く時は、息が切れるほどにエネルギーを注いでも、クタクタにはなりません。

でも、慎重に恐る恐る弾くのは、体力的にも負担になりますし、心がどんどん閉じてしまって、次第にぎくしゃくする弾き方になってしまうようです。

今年は、これまでより演奏会への登場回数をぐっと減らすことにしています。あと数年でフェイドアウトという計画ですが、願わくば質だけは高めていきたいところ。挑戦は尽きません。