マカオより愛を込めて

2012年のラスト演奏を終えると同時に、2013年の幕開けをマカオで迎えました。音と光のシャワーに包まれながら、まるで人類にとって譲れない何かを勝ち取ったかのような歓喜の渦に埋もれて。

今、そこから逃げるようにしてホテルルームに戻ってきました。なぜなら、私が本当に心を通わせたいのは、街に溢れる見知らぬ人たちではなく、私を支えてくれる大切な家族と、音楽でつながっている皆さんだからです。

このブログを毎日楽しみに読んで下さっている人、今まさに偶然初めて目にして下さっている人、頻度や密度は人それぞれですが、こうして縁に恵まれたことを私は心から嬉しく思います。

傍目には自信に充ち溢れ、何でも思い通りに実現し、悩みなどないかのように見えるかもしれません。でも、実際の私はいつも迷いに振り回され、今にもしぼみそうな心を必死にこらえながら前を向いています。

なぜこんなに苦しいのに弾き続けるのか。一晩中考えることもありますが、一番シンプルな答えは、苦しみに勝る歓びがあるからです。私の場合、その歓びとは、聞いて下さる人の胸に音楽が響くこと。耳だけでなく、心に届くことです。

新しい一年は、これまでずっと追い求めて来た「人の胸を打つ演奏」を、更に極めることに全力を注ぎます。人数を限定しながら指導している弟子たちに対しては、基本を大切に、揺るぎない音楽性を育んでまいります。

私の演奏だけでなく、弟子たちの演奏に触れた皆さんにも、本当の音楽と出会った時の心地よさを感じていただけるよう取り組んでまいりますので、引き続きご注目下さいますよう、お願いします。