音楽のはじまり

今週は佐賀県での学校訪問コンサートでした。どの学校でも温かく迎えてくれ、むしろこちらが心癒されることしばしば。子供たちは熱心に聞いてくれますし、先生方も舞台作りを気持ちよく手伝ってくれ、その中でコミュニケーションの大切さをしみじみ感じました。

今回は波多江史朗さん、石川昇平さん、米津真浩さんとのクァルテット。私はほぼ出ずっぱりですが、ピアノソロの時だけ、舞台袖に戻ります。そして米津さんが演奏するシューマンに、うっとりと聞き惚れるわけです。そのとき、「今日は誰にも邪魔されず、音楽を味わいたいです」という先生の言葉を思い出しました。美しい音楽は本当に心を豊かにしてくれます。

さざなみのように揺らぐシューマンの旋律には愛が溢れ、ラフマニノフが言った「音楽は愛。詩は音楽と姉姉で、その母は悲しみ。」との言葉が真実だと確信させられます。さらに音楽が進むにつれ、人間は言葉より先に音楽を使ったに違いないとも思えてきます。音楽のはじまりは、感情のはじまりだったのかもしれません。

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エレガントな演奏だけでなく、壮大な作品、パワフルな曲、思わず笑いが飛び出すシーンもありの充実した70分は、我ながら自信を持ってお届けできるプログラムです。音楽の中に込めているのは、子供たちの未来に向けたメッセージ。きっと受け止めてくれていると思います。

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