演奏会の事前説明会

日帰りで米子に出かけました。鳥取県を訪れるのは、ずいぶんと久しぶり。目的は、演奏会の事前説明会。来春に予定されている演奏会について、理解を深めてもらうための集まりです。

エレクトーンでクラシック音楽を奏でると言われてもピンとこないだけでなく、詳細なパンフレットや過去の演奏記録動画を見てもイメージが膨らまないという声を、これまで多数聞いてきました。資料をじっくり見た人でも、実際の演奏を目の当たりにすると、この感覚はまったく想像できなかったと口を揃えます。

エレクトーンのイメージは?と尋ねると、ピアノより気楽で楽しい楽器、街中でよく実演しているポップな音楽、機械から発する電子的な音、といった答えが返ってきます。これらも確かにエレクトーンの実像に含まれていますが、他にも幅広い用途と可能性を持った魅力的な楽器であることは、ほとんどと言っていいほど知られていません。

満席になる演奏会というのは、必ずお客様からの大きな期待が伴います。どんな演奏が聴けるのか、期待に胸を膨らませて会場に足を運ばれるわけで、その期待があるからこそチケットを購入します。でも、エレクトーンの演奏会は、イメージすら湧かないのですから、期待など生じるはずもありません。

私の演奏会では、人気の高いクラシック作品を中心としたプログラムで、クラシック作品を聴き慣れた方々にも納得していただける内容の演奏をお届けしています。そして、音楽の本質に出来る限り迫り、作品の精神性を最大限引き出すことを念頭に置いています。つまり、音楽そのものをじっくりと味わえる時間と場所をご提供したいというのが私の思いであり、主役は私でもエレクトーンでもなく、純粋に作品そのものです。

事前説明会では、エレクトーンを使いません。ただスピーチと質疑応答だけです。私という人間にまず触れていただき、どんな思いで音楽をしているのか、なぜ数ある表現方法の中でエレクトーンを選んだのかなどを知ってもらいます。会話が弾むにつれ、演奏会への期待は高まっていきます。それはひとりでも多くのお客様にお越しいただくために役立つだけでなく、当日の演奏の質そのものを高める効果もあります。

質疑応答の際は、さまざまなご質問が飛び出しますが、私の一番好きな時間でもあります。考えてもみなかったことに気づかせてもらったり、新しい課題をいただいたり。こうしてエレクトーンの可能性は、ますます膨らんでいくのです。