Postponement

いつもなら弟子たちのレッスンに余念のない私ですが、9月と10月の2ヶ月間は、ほとんどレッスンをしません。まるで放ったらかしのように思われるかもしれませんが、これも上達に向けた作戦のひとつです。

学校に夏休みがあるように、私のレッスンにも長い休み期間を設けており、それがちょうど今の時期です。約2ヵ月間、弟子たちは私の顔を見ることも声を聞くこともなく、マイペースな日々を過ごします。

その間に、過去1年間に勤しんだことを振り返ったり、次の1年間に何を成し遂げたいのかという目標を定めるわけですが、そこには私が介在しない方がいいのです。

弟子たちの多くは、コンクール前のように必死に弾くわけでもなく、のんびりと穏やかな気分で音楽に向かい、好きな本を読んだり友達と会話するような感覚で、弾くことを楽しんでいると思います。

実はこうした時間がとても大切で、四六時中弾いてばかりでは見つけられないものに、一歩ずつ近づいているのです。私の弟子たちは、一人の例外もなくそれぞれの中に音楽を秘めており、それを解放する術さえあれば、どんどん伸びていくことでしょう。

結果を急がず、無理な味付けもせず、丁寧に向き合いながら、弟子たちがじゅうぶんに自分の音楽を解放できるまで見守るつもりです。レッスンの再開は10月末からを予定しており、2ヶ月ぶりに会う弟子たちと、また新鮮な気持ちで向き合えるのが楽しみです。