仙台での復興追悼コンサート

早起きをして、冷たい水で顔を洗って気分をシャキッ。そして仙台へ。祈りを込めた音楽をお届けするために。

会場は仙台サンモール一番町のアーケード内。特設ステージは山形から運ばれた啓翁桜で埋め尽くされ、演奏開始前から街ゆく人の目を楽しませていました。

傍らでは手書きメッセージを花に見立て、メッセージで満開の花を咲かせようという企画が進行中。ステージに負けないくらいの花で埋まっていきます。

12時半からは東北大学エレクトーンサークルMUSICAメンバーによる演奏。学生であることを忘れさせるほど堂にいった演奏ぶりに、道行く人々からも惜しみない拍手が送られました。

その後13時半からは私の番。この日、この場所でたまたま出会えた人たちが、寒い中、立ち止まって音楽に耳を傾けてくれたことに、何か特別な縁を感じながら、ありったけの思いを込めて演奏しました。

私の顔や名前など忘れてしまったとしても、旋律のひとつでも心に残っていてくれたなら、それでじゅうぶんに満足です。

サンモールにはマルシェ・ジャポン・センダイの出店が多数出ていて、陽気な市場の雰囲気。その店を覗いて歩くのも一興。仙台味噌のブリュレとコーヒーでブレイクタイム。

14:46の黙とうに参加し、次の演奏会場へ移動。東北大学内で開催された「市民とボランティアの集い」の中で、MUSICAメンバーとともにワンステージを担当。こちらの会場は屋内とあって熱気に溢れていました。

その後はホテルにチェックイン。先ほどの賑わいとは正反対の静寂に包まれながら、海の方向をしばらく見つめていると、この一年の出来事が次々と心に浮かびます。海岸近くの今でも本当に何もない光景は衝撃的。

暗くなってからは、MUSICAメンバーとの交流会へ。トラストタワー公開空地にはハート型に並べられたキャンドルアート。揺れる炎に思いを重ねて。

交流会では何年かぶりで居酒屋なる形態の店に。大きなイベントを終えてリラックスした学生たちとのコミュニケーションは、私にとっても刺激的。

音楽へ深い愛情を注ぎ、自分の得意なことを活かして街や人々に貢献している姿は頼もしい限り。

今日という日に仙台を訪ねられたこと、そして演奏の場を設けてくれたことは、この学生たちの熱意と行動力が生んだもの。しかも、財布の軽い彼等が、東京から駆けつけた私を労ってご馳走してくれたこともあって、胸がいっぱい。

失われたものの大きさに比べたらほんのささやかだけれど、こうして新しい縁がはぐくまれ、確かに音楽の輪は広がっているのです。