オーケストラの第九

18日は姫路労音第九演奏会を鑑賞しに、姫路へ行ってきました。自分が出演しない演奏会のために、泊まりがけで出かけることは滅多にありませんが、いつも私の演奏会に泊まりがけで来てくださるお客様の思い入れの深さを感じながら、目的のある旅を楽しんで来ました。行ってよかったです。

姫路労音は40年以上も第九演奏会を継続しています。合唱団の取りまとめ、管弦楽団との交渉など、一回の公演のために想像を絶するたいへんな労力が必要ですので、長く続けていることは本当に素晴らしいと思います。演奏会成功のニュースは行かなくても耳に入りますが、やはり現地に行ってその空気に触れなければ、本当の意味で実感することはできません。

演奏は岩村力さん指揮の関西フィルとソリスト、そして200名に迫る第九合唱団。全員が舞台に揃うと、大ホールの舞台が窮屈に見えるほどです。客席もそれに負けないくらい賑わっていました。岩村力さんの指揮はダイナミックでエネルギッシュというイメージがありましたが、エレガントな滑らかさがとても美しい振り姿。管弦楽団も知的な演奏で心地よかったです。

馴染みのあるソリストや合唱の皆さんを、こうして客席から真正面に見るのは初めてだったのですが、なんだか自分の子供の発表会を見守るようなワクワクドキドキ感。弟子のコンクールと違って心臓に悪いということはないにしても、自分が舞台に立つより落ち着かない気分になります。

合唱団ひとりひとりみんな違う人生があるわけですが、ひとつの作品を演奏するために力を合わせ、稽古に励んで来たことを思いながら聞いていると、みんながいつもより輝いて見えました。拍手をし過ぎて筋肉痛です。

そしてオーケストラによる演奏は、当然のことながらたいへん魅力的でした。こうあるべきという説得力があり、何の違和感もありません。その一方で、エレクトーンて凄いなとも思いました。オーケストラに優位性があるとは必ずしも言えないこともわかりました。この先も自信を持ってエレクトーンを弾いていきます。

その自信をさらに後押ししてくれたのが、姫路労音の皆さんでした。終演後の交流会に招いていただき、皆さんから熱い歓迎を受けて、エレクトーンの演奏がいかに愛されているかを実感しました。

もうひとつ楽しみにしていたのが、9月に韓国で共演したクンドゥル芸術団の皆さんとの再会です。全員ではありませんが、この第九演奏会で歌うために来日したクンドゥルの皆さん。とても陽気で、接しているだけでこちらも明るい気分になれます。

そして、今後予定されている宍粟労音、加古川労音の第九演奏会では、またエレクトーンが大活躍します。その打ち合わせも行われ、充実した二日間でした。

今度の週末はいよいよ周南第九演奏会。姫路でいただいた刺激も盛り込んで、更に一歩先を行く演奏をしたいと思います。

トップの写真は東京の景色。日本橋のマンダリンオリエンタルからスカイツリー方面を見たところです。この季節になると空気が澄んできれいに見えます。