サザエ・アワビフェア オーキッドルーム ホテルオークラ東京

最近、急にオークラに入り浸るようになりました。泊まりはしないのですが、レストランは週に2~3度通っています。落ち着いた雰囲気や丁寧なサービスは、やはり別世界の心地よさ。いつもオークラではいい時間を過ごしています。

今回は欧風料理「オーキッドルーム」を訪ねました。高い天井からは、ロビーと同じランタンが下がっていて、十分な間隔でテーブルが配置された上品な空間です。

8月のプロモーションは、サザエとアワビ。オークラの伝統が香るクラシカルなレストランで、どんなアレンジを見せてくれるのでしょう。

最初、Web予約をしてみようと思ったのですが、表示を見ると今週はずっと満席です。ああ、混んでいるのかと諦めてしまうところでした。

でも、電話を掛けてみると、すんなりと予約OK。もしWebの満席表示を見て諦めた人がいれば、店にも客にも不幸なことですね。

さて、予約当日。夕立の中、タクシーで到着すると、車寄せには屋根があるにもかかわらず、ドアマンが傘を添えて出迎えてくれました。

ロビーにはゆったりとしたいい時間が流れています。その質を高めているのが、スタッフたちの礼儀正しさと客層のよさであることは、入った瞬間に感じられることでしょう。

待ち合わせの客人と落ち合って、早速、オーキッドルームへ。燕尾姿の給仕に恭しく迎えられ、ゆっくりとテーブルに着き、ちょっとしたおしゃべりを。

初対面なのに、ここまでお客をくつろがせ、自然な会話を引き出すサービス術は、たいへん見事。投薬中なのでアルコールは控えようと思っていたのに、ついついワインを頼んでしまいました。

料理のめぼしはつけてあります。もちろんプロモーションのコース。前菜はサザエを使った料理4品から、メインディッシュは鮑を使った料理4品から、それぞれ1品を選びます。

オーソドックスなものからアレンジの効いたものまでありますが、やはりここはオーソドックスなものを頼みたくなる雰囲気です。

それに、スープ、パン、デザート、食後の飲み物が付いて15,015円。品数は少なめですが、一皿ごとのポーションはしっかりしているとのことでした。

まずはアミューズ。この日はクリームチーズの入ったプティシュー。レーズンのアクセントが雪だるまの顔のようです。

サザエ前菜は「さざえスパゲッティー 和風わさび風味」を選びました。見た目はあまり上品ではありませんね。でも、サザエの磯の香とワサビのピリッとした辛さがマッチして、味がよかったです。

スープはビシソワーズとダブルコンソメを層にして、パリの夕暮れをイメージしたという「コンソメパリソワール」。クラシカルな一品に、懐かしさと美味しさが一緒に込み上げて来ます。

メインディッシュは「ムニエル仕立て 濃厚な肝ソースとともに」。伊東から直送の新鮮なアワビは、シンプルな調理によって、そのものの味が十分に引き出されていました。添えられた野菜たちも美味。

パンは、フォッカチャ、ライ麦パン、バケットの3種類があり、バターの代わりにオリーブオイルが用意されます。

デザートは、ワゴンのケーキやアイスクリームを好きなだけ取り分けてくれるというのが基本スタイルですが、少々追加料金を払ってクレープシュゼットにグレードアップしました。

ワゴンの上の火で銅パンを使い、いくつかの洋酒を煮詰め、オレンジで風味付けをしたところに、クレープを入れて味を染み込ませていきます。懐かしいと感じる方も多いことでしょう。

目の前のパフォーマンスと共に会話を楽しむという優雅な時間の過ごし方は、ここオークラの雰囲気にぴったりです。

金縁の皿に載ったクレープに、たっぷりのソースとアイスクリームを添えて、はい、お待たせしました。

甘い洋酒の香りが立ちのぼります。最後には、今では少なくなった重ね皿で提供される紅茶とともに、余韻を楽しみました。

店内には、7~8組のお客さんがいるのですが、空間がゆったりしているので、まったく周囲が気になりません。ピアノの生演奏が響く中、ゆっくりと時間が流れていきます。

サービスは実に素晴らしく、格調高い雰囲気を保ちながらも、堅苦しさはまったく感じさせませんでした。

今では、このようなレストランは絶滅寸前。最先端のスターシェフレストランもエキサイティングで素敵ですが、たまにはこんな正統派レストランで過ごしてみてはいかがですか?