分とく山 at インターコンチネンタル東京ベイ

雨の東京。福島・岩手の旅から戻って、ふと福島出身の料理人が思い浮かんだこともあり、木曜日のランチはホテルインターコンチネンタル東京ベイにある日本料理「分とく山」を訪ねました。

この「分とく山」はホテル内の店ですが、ホテル直営ではなくテナントとして入居しています。以前は「なだ万雅殿」があった場所なので、南麻布の店と比較すると座席数が多いのですが、南麻布同様、カウンター席とテーブル席を好みで使い分けることができます。

内装は明るい色調で清潔感が光ります。窓際にもテーブルが並びますが、むしろ窓に面していない席の方が、落ち着いて過ごせるような気がします。

店先で出迎えたマネジャーからは、予約で混み合っているので、料理提供に時間を要すると断りがありました。どのくらいかと尋ね返すと、15分から20分くらいとのこと。待てない時間ではありませんので、席に着きました。

今日はひとりですので、カウンターに座りました。すでに注文は決めてあります。旬彩弁当(4,043円)に、名物の鮑磯焼を付けて、5,575円。昼にしては安くない値段ですが、その価値は十分にあると思います。

カウンター内では、板前が刺身包丁を握って、汗をかくような勢いでまな板に向かっています。本当に忙しそうですが、手元に狂いはありません。職人の見事な仕事を見るのは気持ちがいいものです。待ち時間なんて、ちっとも気になりませんでした。

弁当は20分ほどで運ばれてきました。造りは鰹。生姜醤油でいただきます。

そして二段重を開くと、箸染や組肴、焼物、油物などが、賑やかに盛り付けられています。品書きが添えられないので、一品ずつ口に運びながら、何だろうと想像を膨らませるのも楽しいものです。

そして鮑磯焼。肝と岩海苔を絡めて、海の風味豊かな味わいを楽しみます。日本酒が欲しくなります。

最後には甘味。新茶寄せです。煎茶と色がマッチして、岩手の木々を思い出しました。

サービスはそつなく行われましたが、事務的なのが気になります。それなのに、特に若い女性は言葉の発音が幼稚で、けれんのないさっぱりとした店の持ち味に相応しくありません。人間よりも料理の方がずっと色香がありました。

また、最後に会計をする時のこと。テーブルで会計をする仕組みなのですが、係がまったく気付きません。仕方なく席を立ったら、会計はお席でと止められました。指図する前に、気付かなかった非礼を詫びるべきです。

さらに、会計を終えて、伝票をテーブルに置くと、係はさっさとそこを離れ、それきりでした。店先にも誰もおらず、見送られることなく店を出ましたが、これはあまり気分のいいものではありません。

最後の見送りには店の品性が表れます。いくら忙しいからといって、帰る客を放ったらかしでは、お粗末です。何も、暖簾の外まで見送れとはいいませんけど。吉野家や松屋だって、帰る客に「ありがとうございました」と声を掛けるくらいはしますよね。