真夜中のミュージアム

午前3時。大きなホテルもひっそりと静まり返るこの時間に、館内をさまよう怪しい人影が。それは私です。

ホテルは快適に眠るための寝室であると同時に、洗練されたインテリアで埋め尽くされた美的空間でもあります。それぞれのホテルにはインテリアと調和するアートワークが数多く配され、訪れるゲストに無言で何かを訴えています。

ふだんは慌しく通り過ぎ、その存在に気付いてはいても、しみじみと接する機会を逃していましたが、眠れない夜にこそ、誰にも邪魔されず、じっくりと対話してみるのもいいと思い、深夜に部屋を抜け出しました。

ここハイアットリージェンシー大阪には、数々のモダンアートが飾られています。さりげなく置かれながらも、強烈に主張する個性的な作品が多く、なかなか見ごたえがあります。

控えた照明に浮かび上がるアートワークたちは、美術館で眺めるよりも官能的に見えていることでしょう。

そして、それらと見る者を遠ざける要素は何もありません。その気になれば手に取れるところにありますが、触れてしまえば感じられなくなるものが多くありますので、手はそっと後ろに組んだまま眺めます。

ホテルデザインそのものも、巨大なアートワークのようなもの。ここに行き交う人が加われば、また違った表情に見えてきます。夜が明けて早朝のロビーに、まだ人の姿はありません。

そしてロビーラウンジの脇には、ギャラリースペースが設けられており、常に誰かの個展を開催していて、自由に鑑賞することができますし、もちろん気に入れば購入することもできます。

ホテルライフの一場面で接するモダンアートの世界。安らぎと刺激のミクソロジーに、心地よく酔うひとときでした。