サスライシェフのprivate singapore

カペラでサンデーブランチを楽しんだあとは、セントーサ島を後にし、シンガポール市街を散策しました。まず向かったのはデンプシーヒル。もともと軍隊の駐屯地だったところに、アンティークショップやカフェなどが集まった人気スポットです。

本家マーライオンは工事中で見ることができなかったので、ここで小さなマーライオンに出会えてラッキーでした。

中は緑に囲まれていて、のんびりした雰囲気。ユニークなアート作品を扱うギャラリーや、アジア的なアンティークなどを見ているだけでも楽しめますが、ここで過ごす地元の人々を眺めるのも面白いものです。

ガーデンに囲まれた「ps cafe」に立ち寄るつもりでしたが、すでにティータイムのラストオーダーを過ぎているとのことで、冷たく門前払い。ちょっとガッカリしましたが、気を取り直してチャイナタウンに向かいました。

チャイナタウンはまさに中国ムードですが、見上げるとシンガポール特有のショップハウス建築になっていて、シンガポールらしさも実感できます。

色とりどりの土産物ショップ、行列のできているジューススタンドなど、縁日のよう賑わいには浅草にも通ずる雰囲気ですが、上海や北京の下町のような「殺気」はありませんでした。

そして同じチャイナタウンエリアでも、ワンブロック違うと環境がガラリと変わります。

ハイセンスなセレクトショップや、ブティックホテルなどが立ち並ぶエリアは、渋谷や代官山のような空気感です。その一角にもデンプシーヒルにあるのとはまた一味違った雰囲気の「ps cafe」があり、こちらで一休み。

カフェに入っては何時間も友人と語り合った学生時代を思い出します。

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日が暮れてきたところで、いよいよ今日のメインイベントへと向かいます。場所はタンジョンパガーのベルジャヤホテル。

わずか50室程度の小さなホテルですが、パリのプチホテルのようなチャーミングさと隠れ家的な趣きが魅力です。何度目かのシンガポールなら、こんなホテルを拠点にするのもいいと思います。

現在、このホテルのダイニングはクローズ中。これからリニューアルされ、クラシックとモダンが融合した新しくて懐かしいリストランテに生まれ変わるそうです。コンセプトを聞いて、私の音楽との共通点を感じました。

このダイニングで、フィレンツェからこのために招いたスターシェフ古畑圭一朗さんの料理を、友人たちだけでプライベートに楽しもうという企画に加わらせてもらいました。

ホームパーティ感覚で楽しむ本格料理たち。夢のような時間です。

今日の献立は6品。まずは「カエルのモモ肉のフライと野菜のカポナータ」からスタートしました。

パスタ1皿目は「細めんのパスタに渡蟹とトマト&オレンジ風味をつけて」。

パスタ2皿目は「ルーコラを混ぜ込んだ巻いたラザーニャ、野菜とイタリア産ハム入り」。私はこれが一番気に入りました。

魚は「太刀魚とブルテンゴ、シャルドネーのソース」。日本とイタリアでは、同じ太刀魚でも尻尾の形が違うと教えてくれました。

肉は「豚のポルケッタ風オーブン焼き、温野菜とパンペパートソース」。子ブタの丸焼をモチーフにしたシェフ自慢の品です。低温でじっくりと火を通し、とっても柔らか。そして皮はパリパリ。ポークの皮を食べる機会はあまりありませんので、食感も面白かったです。

締めくくりは「カリカリカンノーリにリコッタとフレッシュフルーツをつめて、サフランジェラート添え」。お腹いっぱいなのに、ドルチェはもっと食べたいくらい・・・

イタリア料理はどちらかというと味のコントラストがはっきりしている印象ですが、今回の料理はすべてエレガントで優しい味わいでした。かといってぼやけているのではなく、フランス料理に通じるような繊細さが軸となっている感じです。そして、ここシンガポールでも、かなりよい素材が手に入るとのことでした。

食後には古畑シェフもテーブルに加わり、食の話題で大いに盛り上がりました。集まった顔ぶれは、それぞれに全く違う人生を歩んできた人たち。本来、まったく縁がクロスすることなどないはずなのに、こうして食卓を囲んで、共感しながら喜びを分かち合っているなんて、身震いするほどステキな体験です。

私の音楽も、人と人を結ぶ架け橋になったり、ひとときの安らぎや楽しみだけでは終わらないものをお届けできるようでありたいと、改めて思いました。