さよなら、グランドプリンスホテル赤坂

2011年3月で閉館が決まったグランドプリンスホテル赤坂。「アカプリ」の愛称で親しまれたこのホテルは、アーバンライフの象徴としてもてはやされた時代もあり、その華やかさを知っている身としては、閉館のニュースに少なからず衝撃を受けました。

斬新な外観を持つ新館は、東京に数あるホテルの中でも、最も印象的でカッコいい建築のひとつ。昼夜を問わず車がひっきりなしに往来する赤坂見附交差点から見上げる新館に、東京らしさを感じる人も少なくないことでしょう。

桜のシーズンには周囲が桜色に染まり、まるで桜のカーペットの上に新館が建っているように見えるポイントもあります。閉館後、新館は取り壊されることになっているので、その光景を見られるのは今年限りかもしれません。

一方、新館の裏には歴史ある旧館が建っており、今でもレストラン、バー、宴会場として人々に愛用されています。こちらは閉館後も残されるそうですが、本当に残してくれるのか、やや心配です。

上海やニューヨークには、歴史的な建築物を商業施設として活用しているケースをよく見ますが、東京ではとても少ないように思います。そもそも古くて状態のよい建物があまりないのかもしれません。

新館のデザイン性も見事です。

壊してしまうなんて、本当にもったいない・・・

さて、宿泊の話題については「喜怒哀楽」で触れるとして、ここでは訪ねたレストランについてご紹介しましょう。

今回はかしこまった席ではないので、気楽に過ごせるコーヒーショップに入りました。店の名は「ポトマック」。桜の名所として名高いワシントンを流れる川の名前にちなみ、開業当時の駐日米国大使が名付けたと聞きました。

ブルーカーペットにミラーウォールなど、引き締まった内装でありながら、ニューヨークの写真を多数掲げ、80年代のポップスをBGMにするなど、ちょっとちぐはぐな印象もありますが、それもまたプリンス的。今さら驚くこともありません。

メニューはライトミールからインターナショナル定番料理まで、一通り揃います。そして季節の「あったか料理」や、プリンスの料理コンテストの優勝作品など、プロモーションメニューも充実。人気のオムライスやビーフピラフもあります。

その中から選んだのは、2,980円のポトマックセット。選べるメインディッシュに、カップスープとコーヒーが付きます。

まずはスープ。懐かしい味のコーンポタージュです。

メインディッシュにはオマール海老とシーフードのスパゲッティを選びました。パスタ、オムライス、バーガーを選ぶと、サラダバーも付きます。

そして200円の追加でミニデザート。

この内容で3,000円以上となると、やや割高感が否めませんが、これらを単品で注文するよりは、2割近くお得でした。

そしてこちらはお気に入りのエビフライ。もう食べられなくなると思うと悲しいです。

サービスは控えめに感じますが、従業員たちは見掛けよりもずっと素直で人間的です。あえてクールを装っているというより、本当にまじめなのだと思います。

特別親しみを感じさせるようなサービスはありませんが、いつも遠くから目配りをして、細やかに世話をしてくれているという印象でした。以前はこれほど居心地良くも感じなかったのですが、あと2ヶ月足らずでなくなってしまうと思うと、急に情がわいてきます。

朝食は、「紀尾井」で。

館内では55年の歴史を紹介した写真展を開催中。東京の変遷も合わせて楽しめる内容でした。