パーティは大嫌い

人が集まる場所も、人とのコミュニケーションも苦手な私にとって、パーティ会場ほど苦痛なシチュエーションはありません。毎日にように誘いが掛かるパーティに、どんな理由をつけて欠席するか、いつも頭を悩ませています。

でも、今日は交流のある音楽家たちが集まる新年交歓会があり、意を決して出席の返事をしたのでした。会場は山の上ホテル。大好きだったカザルスホールのすぐ近くです。

なるべく目立たないよう地味に身なりを整え、でも辛気臭く見えないよう自然なスマイルを用意して、いざ受付に向かいました。

顔なじみの皆さんが歓迎してくれ、ちょっと気分がほぐれたのも束の間、パーティの開宴を待つ間にも、私は視線のやり場に困り果て、隅に座って自分の膝を見つめながら、ちぢこまっていました。

やがてパーティ会場に足を踏み入れてからも、どう振舞っていいのかわからず、右往左往。顔見知りはたくさんいますが、話掛け方がわかりません。

時折、会話の糸口を向けてくれる人がいますが、それにもうまく応えられず、どうもギクシャクしてしまいます。

「ご無沙汰しています」
「ああ、どうも」
「今年の冬は寒いですね」
「そうですか・・」
「・・・」
おしまい。みたいな感じ。適当に調子を合わせた会話というのが苦手です。

会場には、姜建華さんの姿もありました。遠くの姜建華さんと目が合い、グラスを軽く持ち上げる仕草をしたら、彼女もそれに応えてくれましたが、結局、一言も会話なし。

エージェント泉さんも来ていますが、他の人たちと盛り上がっていて、私のことは眼中にありません。会話の内容を盗み聞きしてみると、「人生は60歳から」みたいな演説。確かに、私にはまだちょっと早い会話です。

それでも「壁の花」ならぬ「壁の陰」として2時間を過ごしました。そんなに苦痛なら欠席すればいいのにと思われるかもしれませんが、どうしても直接会って感謝の意を伝えたい人が何人かいたので、参加しました。

私は、直接会って話すのも苦手ですが、それ以上にメールや電話ではうまく伝えられないことがたくさんあります。特に、真の気持ちというのは、直接会った時でなければ、うまく伝えられません。

こんな不器用な一面があるからこそ、表現の手段として音楽の力を借りるようになったのかもしれませんね。