花梨 at ANAインターコンチネンタルホテル東京

ANAインターコンチネンタルホテル東京のレストランは、ここが東京全日空ホテルとして開業した頃からしばしば利用してきましたが、なぜかインターコンチネンタルになった途端に足が遠のいていました。

なぜかというはっきりとした理由は考えても思い浮かばないのですが、ただなんとなく足が向かなくなったのです。

今回久しぶりに訪ね、顔なじみのマネジャーからは、新しくオープンした「ピエール・ガニェール」での食事を勧められましたが、今夜は接待ではなく単なる日常の食事なので、時間をかけてちまちまとした皿をめでる気分にはなれず、次の機会に楽しみを取っておくことにしました。

そして選んだのが中国料理「花梨」。もうかなり前に改装が行われ、その際にフレンチレストラン「ローズルーム」を吸収して、以前の倍ほどの規模に拡大されたのですが、今回がその改装以来初めての利用となります。

石造りのエントランスからアプローチを進むとレセプションがあり、そこに構える係に予約してある旨を伝えましたが、予約が見当たらないらしく、入口で少し滞ってしまいました。でも、すぐにマネジャーが来て対応し、ほどなく席に案内されました。

広い店内ですが、セクションごとに区分けされており、席についてしまえばその広さを実感することはありません。テーブルセッティングはクロスを敷かずランチョンマットだけという簡素なもの。ナプキンは布ですが、割り箸は粗悪な素材でできており、それだけで高価なメニューを注文する意欲は失せてしまいました。

テーブル同士の間隔も狭く、まったく高級感はありません。その上、ホテルダイニングには不適切な身なり(半ズボンやビーチサンダル)をした客が多く、洗練に欠ける雰囲気です。

これはもう、パッと食事を済ませて早々に退散するのがいいと思い、一番安いコース(8,690円)を注文しました。
その内容は・・・

広東式焼き物入り前菜

ホタテ貝・イカのあっさり炒め マスタード風味

メカブと干し貝柱入りフカヒレスープ

三種点心の蒸し物

中国野菜の色々XO醤炒め

サイコロ牛肉の黒豆辛味ソース

高菜と豚挽き肉のレタスチャーハン

フルーツ入り愛玉ゼリーと一口菓子

料理は大皿で運ばれ、すべて係が目の前で取り分けてくれます。一番安いコースとはいえ、素材のグレードや品数から考えると、やはりホテル値段だなという印象がぬぐえませんが、さすがホテルと感心する点もありました。

特によかったのはサービスです。サービスのタイミング、物腰や振舞い、清潔感など、スタッフの全員が高いレベルにありました。料理もよい状態で提供され、調理やサービスに関しては残念に思うことがひとつもありませんでした。

それだけに、チープなセッティンッグなどの目に見えるコストダウンは残念。せっかく高い水準にあるものの価値を半減させていました。

店の入り口には、最高級のフカヒレとされる「天九翅」に関する展示と説明があり、興味をひきます。ジンベイザメやウバザメといった体重が10トン以上もあるようなサメの背びれを使うのだとか。

そして鋭い歯をむき出しにしてこちらを睨むサメの首も展示されているのですが、小さいながらもまるでジョーズのような迫力です。でも、写真に撮ったら、なぜか大笑いしているように見えませんか?

帰りには、キャッシャーに売っていた大好きな栗子月餅を購入し、ご機嫌で店を後にしました。