スーパープライベートレッスン

コンクールや特別な演奏会を控えた人、あるいは高いプロフェッショナル志向を持つ人には、通常のレッスンの枠を超えたスーパーレッスンを推奨しています。

レッスンは通常30分~1時間半がひとこま。長くてもせいぜい1日2時間程度ですが、私のスーパーレッスンは時間の枠を設けず、その日一日、朝から夜まで時間が許す限り連続して稽古をつけます。

長丁場の稽古で、いかに集中力を切らさず弾き続けるかが課題になりそうなところですが、不思議なことに受講者たちは「あっという間だった」と口を揃えます。

1回のレッスンで取り上げる曲は多くても2曲。でも、それぞれが人生を捧げて取り組むに相応しい歴史的大作であることが条件なので、全楽章を通して、あるいは全幕通して演奏するとなれば、1時間とか2時間掛かるということもしばしば。

それを納得がいくまで集中して弾き込んでいくのは、弾き手にとっても稽古をつける側にとっても、極限状態。私は常にマキシマムの精神性を要求するので、弾き手は海峡を泳いで渡っているような気分でしょう。

こうした緊張感は徐々に高めるものではなく、レッスン会場に入った瞬間に始まります。楽器にスタンバイしてから5秒と待たないうちに、「さあ行きましょう!」と、私は指揮者さながら腕を振り上げ、マキシマムの演奏を促します。

そして、私は弾き手の出した音とそのニュアンスを一音残らず感じとり、ある時はイメージをつかむためのヒントを、またある時は改善に必要な具体的なテクニックを丁寧に解説します。

スーパーレッスンを終えると、弾き手は間違いなくクタクタですが、同時にとても晴れやかな表情になり、自信がみなぎっているのがわかります。

「本番で緊張しないためには、どうしたらいいか」。
これもまた、決して緊張することのない私にしばしば寄せられる質問です。
本番で緊張するのは、やり残したことがあるという後ろめたさであり、弱さのあらわれです。

「私はやれることはやった。そして稽古で一度できたことが、次の本番でできない理由はない。」
演奏に際し、このように腹をくくることができれば、緊張は霧が晴れるように消えてなくなることでしょう。

それでも失敗する時は失敗しますが、やれることを尽くした結果であれば、謙虚に受け入れることができ、その苦い経験を次に生かせれば成長が望めます。

私のスーパーレッスンは、主に精神面における大舞台のシミュレーションを兼ねており、演奏の精度を劇的に高めると同時に、風格の香る演奏術を身につける絶好の機会でもあります。

この場合、1時間のレッスンを6回やるより、6時間のレッスンを1回する方が、大きな成果が得られる点も特徴です。

このスーパーレッスンは、誰にでも提供できるものではありません。私が命がけで身につけたものすべてを惜しみなく分け与えるのですから、それ相当の決意があり、才能と実力を兼ね備えた人に限りますが、近頃は挑戦者が増えてきて、とても頼もしく思っています。