80才のピアニスト

今朝の沖縄は薄曇りで、やや強い風が吹いていました。
朝食を済ませてから午前中いっぱいは客室でパソコンに向かって過ごした後、ロビーラウンジのテラスで、サンゴの石組みに静かに流れ落ちるカスケードの音に耳を傾けながら、ホットサンドイッチでランチにしました。

すると、また昨日の鳥が来て、食べ物を狙っています。

そこにホテルの副総支配人が顔を見せてくれ、しばらく会話に花が咲きました。
最近の沖縄の観光事情やホテルの動向といった話題から始まった会話は、次第に共通の友人の話題となり、やがて私のコンサートスケジュールにも触れました。

明日のプラネタリウムコンサートがなかったら、もうしばらく滞在したいところだが、実のところ、今回のコンサートは音楽とプラネタリウムの本格的なコラボレーションなので、とても楽しみにしているのだと告げると、ユニークで意欲的な試みに大きな関心を示してくれました。

そして、1枚のシンプルなチラシが差し出されました。
そこには普段着でくつろぐ老齢の紳士の写真とともに、「80才祝い ピアノリサイタル」の案内がありました。

プログラムが詳細に記載されており、バッハの「フランス組曲」に始まり、ベートーベンの「ソナタ27-2」(これは月光ですね)、リストの「ペトラルカのソネット」や「ハンガリー狂詩曲」、加えて、アルベニス、ファリャ、グラナドスといったスペインの作曲家による作品が並びます。

どれも私が大好きな曲ばかり。しかも、終盤がスペインというところが非常に興味深く思えます。

ピアニストの名は、ビエン S.P. パンガニバンさん。
副総支配人によると、フィリピンの出身で、長く沖縄の米軍内でピアニストとして活躍して来られたのだとか。

選曲からも、お歳からも、威厳たっぷりのマエストロ的なお人柄が思い浮かびます。

どんな演奏をなさるのか興味津津にチラシを眺めていると、副総支配人が「ちょうど2階でおひとりでランチを召し上がっているところですので、ご紹介しましょう」と言って、ビエンさんのところまで案内してくれました。

フレンチレストランで、ひとり優雅にお食事している姿は、やはりピアニスト然としていますが、想像と違ってとても小柄でした。
更に驚いたことに、とっても気さくでチャーミングな方で、未知の楽器を奏でるという見知らぬ音楽家にも、たちまち心を開いて優しく語りかけてくれました。

ますます演奏を聞いてみたくなりましたが、ビエンさんのリサイタル当日は、私にもコンサートのスケジュールが入っています。

でも、せっかくお引き合わせ頂いたご縁ですから、またいつか再会する日がくることでしょう。
私が80歳になった時、ビエンさんのような雰囲気でいられたら理想です。

ビエンさんのリサイタルの詳細は次の通りです。

80th Birthday Celebration in a BENEFIT PIANO RECITAL
for Charity & Scholarship
BIEN S.P. PANGANIBAN / Piano

2010年5月21日(金) 19:00開演
あしびなーホール(コリンザ)沖縄県沖縄市
大人:1,999円 学生:1,000円
チケットは・・・AAFES MUSIC SHOOL tel:098-970-8432

最後に、沖縄の思い出に、新しいカメラで撮影した写真をお届けします。


(葉っぱが白く写る特殊なフィルターを装着して撮影しました。)